発達障害から「神経」発達症へ(後編)

発達障害から「神経」発達症へ(後編)

 

 

 発達障害から診断名が神経発達症となりました。

 

今日は神経発達症の「神経」の部分について一緒に考えたいと思います。

 

神経は「脳」と「身体」全体に張り巡らされています。

これまで発達障害は「脳機能の障害」と言われてきて「脳」が強調されていたと思います。

 

確かに、神経発達症の方は脳機能が多くの人とは違う動き方をすることが多いと思います。その特性を理解し、対応してくことは有用です。でも、「脳機能」と考えると例えば服薬や療育のように、専門的な理解と支援こそ重要(受けれないと心配)と感じやすいかもしれません。

 

服薬や療育も重要な対応策の1つですが、「神経」発達症となったことで、ぜひ身近な日常生活の中で特性・心を整えていくことの可能性と重要さを、同様に大切にしてほしいと思っています。

 

 

●「自律神経のアンバランス」と「疲労」に注目する

 

私が特に大切にしたいのは「身体」にある自律神経(交感神経・副交感神経)です。

 

人も動物も身の危険を感じると、闘争or逃走反応が生じて交感神経が優位になります。

 

特に神経発達症または凸凹(グレーゾーン/パステルゾーンという人もいます)が大きい方は、他の人が危機に感じない場面でもパニックになったり追い詰められたりすることがあります。そうなりやすい神経特性があるため交感神経が優位になりやすく、それが常態化していることもあります。

 

 

あまり知られていませんが、神経発達症の有無にかかわらず

 

1.交換神経優位による闘争・逃走反応でも対応できないとき

2.交換神経優位による闘争・逃走反応で対応し続けたとき

 

のいづれかになると、ブレーカーが落ちるように交感神経が優位でなくなり、フリーズ現象が起きることがあります。フリーズですので「固まる」「動けない」「頑張れない」「考えれない」「覚えてない」など、自分でもコントロールできない状態になります。

 

それはブレーカーと同様の役割があり、「これ以上頑張ることで命の危険があるだろう」と神経システムが判断して無意識に自分を守るために発動されます。

 

一次的な発動でその意味を想像し、「休む、休み方を工夫、頑張り方を工夫、高すぎる目標を下げる、刺激を減らす環境調整」等の対応・ケアが大切になってきます。多くの方は、日々自分の身体的状態を無意識に感じながら、意識・無意識にケアして、頑張っているのだと思います。

 

しかし、様々な要因で、フリーズ現象が十分ケアされず長引くと、頑張れない状態、うつ状態、逃避行動、不登校やひきこもり、PTSD症状など様々な「問題」として認識されるかもしれません。確かにご本人にとっても困る状態ではありますが、一方で「必要だからそうなっている」ことを忘れてはいけません。

 

 

特に神経発達症の方は、感覚過敏・鈍麻があることが多く、自分のからだの状態を感じることも苦手です。つまり神経発達症傾向の方の(見えにくいけど)よくあるパターンとしては

 

・学校や家庭・社会の中で、交感神経が優位になりやすい

・まわりと同じ環境なので、それほど頑張っている(交感神経使い続けている)と思われにくい

・自分も自分の頑張り・疲労に気付きにくい(むしろ、結果が出ず「頑張ってない」と考える)

・時間とともにじつは神経疲労がたまっている(客観的には特別な事態はないのでそう見えない)

・いつくかの嫌な出来事やきっかけから「問題」として認識される

 

そして、こういうパターンは神経発達症に関わらず、多くのこども・大人にも当てはまるのではないかと感じます。なぜ頑張れず動けないのか、本人も家族もわからない相談は増えている印象です。もしかしたら強い刺激・負荷が身近に当たり前にある今の時代は、大交感神経優位時代なのではないか、とも想像してしています。

 

 

●では、どうしたらよいのでしょうか

 

すべての人にとって、「神経」との付き合い方は大切だと思いますが、特に神経発達症の方は「神経」を整えること(副交感神経優位)を日常的に意識した生活がよいだろう思っています。

 

それは、特効薬や専門家が実施する聞いたことのない技法だけでなく

日常的な環境(五感刺激)の工夫や関わり方、リラックスの仕方の工夫などがあります。

例えば

 

  • (視覚)好きな色/綺麗な自然/目を休める(デジタルデトックス)/笑顔を見る…
  • (聴覚)うるさくなくてもイヤマフ/心地よい音楽/静かな場所/穏やかな声を聴く…
  • (味覚)好きな食べ物/歯磨き・歯科治療/よく噛んで食べる…
  • (嗅覚)良い匂い/鼻うがい/鼻呼吸/花粉対策/ほこり・カビ掃除/適した湿度…
  • (触覚)心地よい服や家具/適温/日光/家族等との接触/さする/手当て…
  • (関わり方)穏やかに/相手に合わせて/少し高めの声/軽いタッチ/見守る…
  • (リラックス)深呼吸/散歩/軽い運動/ストレッチ/ヨガ/旅行/趣味…
  • (人とのつながり)安心できるつながり+上記等の工夫:例)一緒に音楽/一緒に散歩

 

ご本人が「心地よい」かどうかが大切です。日々いろんな心地よい体験を集めていくことや、試しにいろいろやってみることがよいと思います。

 

おすすめは、同時に3つくらい取り組んでみることです。3つの内1つでも無理なく続けれて、なんとなくいい感じだし「習慣化」するといいなぁくらいで取り組むのがよいと思います。こどもの困りごとであれば、まずは親が心地よく元気になる習慣を探してみるのもおすすめです。

 

ちなみに私は最近、口腔内をきれいに保つ/PC作業合間にからだをゆらす/夜間スマホの電源を切る、などが心地よく感じて、結構続いています。

 

1つの方法に「固執する」「無理する」「完璧を目指す」「正解を探す」「結果を急ぐ」といったことのは、むしろ交感神経を優位にさせ疲れます。「唯一無二の完璧で即効性のあるリラックス!」は、全然リラックスとはほど遠いですよね。

 

神経が心地よくなると、心も安定しますし、アンバランスな神経ももちろん発達していきます。ご本人、自分、家族にとって神経が「心地よく」感じれるものを、焦らず少しずつ集めながら生活していけるといいなと思います。